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〜副部長たちの挑戦と展望〜

蘇生会看護部では、スタッフ一人ひとりの成長を支えるため、教育体制の強化と現場での実践的な学びを大切にしています。今回の座談会では、教育全体の仕組みを作る上山さん、師長として現場と組織教育をつなげる役割を担う小森さんと小林さんの3名に、蘇生会の看護教育について語っていただきました。

左:小林さん 中央:上山さん 右:小森さん

参加者紹介

  • 上山さん(教育担当副部長):蘇生会の教育全体の仕組み作りを担当。組織全体の教育体制を見据えながら、実践に活かせる学びの場を構築している。医学部看護学科看護学専攻修士課程修了。
  • 小林さん(副部長):現場での経験を活かし、スタッフが学びながら成長できる環境づくりを推進。大学院で医療安全管理を勉強中。
  • 小森さん(副部長):師長としての立場から、現場の実践と組織的な教育をつなげる役割を担う。大学院で医療管理学系の大学院修了。

大学院での学びが現場にどう活かされているのでしょうか?

小森さん:大学院での学びは、知識を深めるだけでなく、物事を俯瞰した視野で捉えたり、課題を解決する力を養う機会だと感じています。理論と実践がつながることで、私自身、現場で新しい教育の方法を取り入れやすくなったと感じています。

小林さん:私は大学院で医療安全管理を学んでいるのですが、一番は「なぜ、必要なのか」「なぜ、こうなったのか」を言語化することでスタッフの理解を促すサポートができていることだと思います。看護の世界は難しい言葉も多いのですが、かみ砕いて伝わりやすくすることで一緒に考えることができるかなと思います。

上山さん:私が大学院に通っていたのはもう15年も前。大学院だけではなく、公的病院や看護協会での経験を通じて、教育体系作りを行ってきました。そういう意味ではずっと学び続けています。おふたりは師長も担っているので現場最前線で活躍してくれていますが、私は組織の体系として教育と現場をどうつなげるかというところを仕組づくりとして考えていく立場で、現場の師長を支え、連携しながら進めています。

現場のスタッフ教育で大切にしていることは何ですか?

小森さん:現場での教育は、ただ知識を伝えるだけではなく、スタッフ一人ひとりが自信を持って成長できるようサポートすることが大切だと思います。それぞれの強みを見つけ、それを活かす方法を一緒に考えていく。もちろん誰にだって課題はありますが、いいところを見ることを意識しています。

小林さん:Z世代を含む多様な世代のスタッフがいる中で、気になることがあれば「今、大丈夫?」と本人の気持ちや状況を確認することを大切にしています。そのうえで、「なぜそんなことをしたの?」ではなく、「何があったの?」と問いかけ、自分自身の状況を振り返りやすくすることを心掛けています。

小森さん:心理的安全っていうものですね。心理的安全性はあるだけでは意味がなくって、それが根本にあった上で医療や看護の質が上がるってことが大事だと思います。

小林さん:その通りで、守るだけじゃなくて、例えば自分の意見を言える環境も心理的安全性の一環です。コミュニケーションが得意じゃないスタッフも、話を引き出すことで若い世代でも多くのことを考えていて驚かされることがあります。

集合研修と実践的学びについて教えてください。

上山さん:全体の教育の仕組みづくりをしています。集合研修では、BLSや蘇生などの基本的なスキルを習得し、実際の業務に活かせる能力を養います。当院はケアミックス型の病院のため、急性期から回復期に至るまで専門的な知識と技術を深め、総合的な対応力を備えた看護師の育成を目指しています。

看護は、多職種と連携し、患者さんを包括的に支援できる力を養うことが求められます。また、組織をリードできる人材の育成にもつなげていかなければなりません。総合病院としての基盤をしっかりと固め、専門性を深めながら、広い視野をもつ看護師に育ってほしいと思います。

小林さん:特定の専門領域を極めるだけでなく、総合的に対応できる看護師を育てていくことは組織としても必要ですが、看護師として幅広いスキルをもち、大きく成長することができるように集合研修と実践をつなげていき、広い視野とスキルをもった看護師を育てていく必要があると考えています。

上山さん:そうですね。長期的に看護師を育てる観点からも、同じ部署に固定せず、ローテーションを取り入れることで幅広い経験を積んでもらいます。その結果、どの領域でも通用する人材を育成し、本人にとってもスキルアップやキャリア形成につながる。例えば、一定期間経験を積んだ後に、自分が本当に極めたい分野が見えてきたり、管理職としての道を選んだりしていく。

小森さん:看護って領域がすごく広いので、いろんな経験をすることで、自分の適性ややりたいことが見つかる可能性ってありますよね。スペシャリストとしての道を選ぶこともできるし、リーダーとして指導に携わることもできる。

上山さん:だからこそ、組織の中でどんな役割を担うのかを考えながらキャリアを築いていってもらえるようにしていきたいです。

現場と教育をつなげるための仕組みには、どのような方法がありますか?

上山さん:看護部のラダーは日本看護協会のクリニカルラダーを参考に構築しています。その中で組織役割遂行能力、看護実践能力、自己研鑽・自己教育という枠組みがあり、その中で当院に必要な学習項目を決めてきました。例えば、組織役割遂行能力とは簡単に言うと各レベルでどのような役割を担って欲しいか、例を挙げるとラダーⅠのではメンバーシップが発揮できる、Ⅲでは、リーダーシップが発揮できるなどです。集合研修では目標に必要な学習項目で研修を行います。受講したからといって、すぐに身につくわけでなく、自部署に持ち帰ってどのように発揮するかを考え、目標達成に向けてすすんでもらう。そのためには各部署の管理者にも意図を理解して、集合研修で学んだこと、課題となったことを現場で実践できる環境を作っていってもらいたいです。各部署の管理者にも理解してもらえるようこちらの働きかけも必要になります。技術的なこともそうですね。

小林さん:そうですね。単に技術を学ぶ研修だけではなく、それぞれのレベルで課題を設定し、組織としてどのような人材を育てたいのかを話し合いながら、段階を踏んで成長していける仕組みを作る。

小森さん:ラダー研修は理論を学ぶ場ではありますが、それだけでは現場での即戦力にはならないと思っています。単なる知識のインプットではなく、研修を通じて各部署や個々の課題を見つけ、理解し、持ち帰ることで、日々の看護の中で考えながら実践できるようにすることが大切。そう考えると、やっぱりキーマンになるのは、我々師長なのだと思います。

上山さん:そうですね、研修で学んだことをどう現場で落としこんでいけるか、難しいですね。本人もそうですが、師長の力の見せどころですね。意識していることはありますか?

小森さん:「どんな看護師を育てていきたいか」というところから、師長はじめ看護主任たちとみんなで話し合いを重ねてきたことで、一人ひとりを見てコミュニケーションをすることを意識していますし、チームの意識を高めることも大切にしたいと思っています。

小林さん:技術や知識を学ぶだけじゃなく、看護の魅力を一緒に伝えていくことで、それがラダーの目標と合致したとき、スタッフは自分の持つポテンシャルを最大限に発揮できるのではないかと感じています。蘇生会のスタッフは素直で高いポテンシャルを持っているので、その力をさらに伸ばせるよう、現場でもサポートしていきたいと考えています。

小森さん:私は今、すごく組織も現場も変わってきていると感じています。勤務して長いですが、今が一番開かれてる、横にも縦にも意見を言いやすい組織。看護部長、副部長、師長とかの、その隔たりを感じない環境がとてもいいです。

小林さん:私も研修への意識が根付いてきたように思います。新しいラダーがはじまって学ぶことへの姿勢というか考え方のようなものが少しずついい方向に向かっている感覚です。師長たちが本当に看護に対して熱い気持ちを持っている人たちが集まっているので、組織を良くしようというポジティブな雰囲気があるなと感じます。

キャリア形成のために、どのような経験を積むことが重要だと思いますか?

上山さん:看護師は、結婚や転居、キャリアアップ、別の病院も見てみたいなどの理由で環境を変えることは珍しくありません。でも、その時に『プリセプターを経験していない』など、一定の役割を経験しないまま病院を離れる方も見られます。例えば、3〜5年目の看護師が他院に移った場合、そこではまた一からのスタートになることも多い。もし、もう少し続けていたら、指導者としての経験を積む機会もあったかもしれないのに…と感じることもあります。その年代年代にあった経験というのも大事かなと思います。

小森さん:だからこそ、個々のキャリアを考えた仕組み作りが重要ですよね。

上山さん:そうですね。ご縁あって、出会ってこの病院にいるなら、その間はキャリアをちゃんと積ませてあげたい。例えばプリセプターの役割を担ったり、主任看護師をして部署の教育を考える立場になったり、他にも3年ほど同じ部署にいたら、新しい部署に移ると、より多様な経験を積み成長することができたりします。そうすることで、本人の成長にもつながるし、仕事も楽しくなったり、組織としてもより多くの視点を持つ看護師が育ちます。

小林さん:どんな看護師になってほしいか、という点については、師長や主任看護師のメンバーとこの半年間、多くの話し合いを重ねてきました。目指すべき看護師像を実現するためには、一人ひとりのキャリアを、スタッフ自身も、そして私たち管理者も共に見守っていくことが大切だと感じています。

今後の教育への取り組みと展望について教えてください。

小林さん:今後は、スタッフ一人ひとりのキャリアパスに合わせた柔軟な教育体制を整え、各々が自分の目標に向かって成長できるようサポートしていきたいと考えています。自分の強みを活かしながら、学び続けられる環境作りを目指しています。

小森さん:管理者としての成長に加え、一人の看護師として常に学び続けることを意識しています。現場での実践的な学びと新しい知識を取り入れ、組織全体が成長できるよう尽力したいと思います。

上山さん:実践をまとめる」ということを続けていきたいと思っています。研究もそうですし、実践報告もそれにあたります。もちろんスタッフへの指導もしていきたいと思いますが、指導する側にも課題がないといけないと思って今までやってきました。直近では、看護教育系の雑誌で、連載のお話を頂いています。当院看護部の教育を知ってもらいたいなと思っています。スタッフには、学会発表などを通じて、実践してきたことを振り返り、人に伝えることを学んでほしいと思います。それが実践の質向上につながっていくと思っています。「他の方々にも指導し、自分自身も書き残すことを大切にしていく」その結果、当院を多くの方に知っていただける良い機会になると考えています。

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